第2回目の森ラボイベントでは、新しい視点で森林資源を捉え直し、ツアーや合宿などでの交流事業を通じて、これまでにない空間や家具などのものづくりを行っている(株)飛騨の森でクマは踊るの代表の松本剛さん。藤野在住でもあり「環境との調和、循環する建築」「ヒト、モノ、自然、関係性のデザイン」「農的暮らしとパーマカルチャー」という3つのビジョンを基に、神山町の集合住宅やワタミオーガニックランドその他、様々な地域でのプロジェクトを手掛けられている建築家の山田貴宏さんをお招きし、各地での取り組みや、これからの可能性についてお話しいただきました。
(株)飛騨の森でクマは踊る 松本さんは、飛騨古川の森林で活動。飛騨の森の約七割にあたる天然林は曲がっていたり腐っていたりするためモノづくりには向かず、飛騨の職人は外から資材を購入しているという現状を変えようと、地域の広葉樹を作り手に繋げるために立ち上げられたのが、飛騨の森でクマは踊るという会社とのことです。
建築家やデザイナーの方との飛騨の資源の特徴を生かしたモノづくりを中心に、海外の方との交流などを通じて、飛騨の資源と最新テクノロジーを融合させるモノづくり活動を実施、また飛騨市の政策として、「肥大広葉樹のまちづくりツアー」や「広葉樹のまちづくり学校」などのプログラムも行なっているそうです。飛騨市との協力体制として、現物出資として森を提供いただいているというのも興味深いお話でした。
ビオフィルム環境デザイン室 山田貴宏さんは、循環資源を使用し、地域の材と資源で「地産地消の住まいづくり」を行われています。地産地消の住まいが、風土・気候を理解しそれに適したデザインや自然エネルギーの利用などを通じて環境や風景を整えることつながり、また実際に外部環境が豊かになることで、室内の環境も整えられていく好循環が生まれているそうです。環境だけでなく、地域の健康なコミュニティを生むような、総合的な環境価値づくりをテーマに住空間の提供を行われています。藤野で実践されている里山長屋も多くの方の関わりで出来ており、また神山町での町営による集合住宅なども人が集い、長く住み継がれていく思いを感じさせる取り組みとしてご紹介いただきました。
森林資源を活用し、よりビジネスとして活用されているお二方のお話も興味深い事例ばかりでした。同時に日本の森林活用にはまだまだ多くの課題が残ることなどもお話しいただき、多くの担い手と新たな知恵が必要な状況だということも再認識させられました。
イベントアーカイブをYouTubeに公開しました。