[イベント概要]
中山間地域の医療は、高齢化の加速や交通網の不備、医療従事者の不足など、近い未来に数々の困難が起こると予想されます。これから更に少子高齢化と人口減少が続くことで、これまでのような医療体制を維持することは難しくなっていくかもしれません。
現在、内閣府でも「デジタル田園健康特区」という、デジタル技術を活用して地域医療の課題に重点的に取り組もうという動きが始まっています。在宅医療における看護師の在り方、救急医療における救急救命士の在り方、全国の医療情報データの連携、予防医療の拡充やAIチャットサービスの促進などが検討されています。
中山間地域の医療の現在の課題はどこにあるのか、またどんな未来が期待できるのでしょうか。
中山間地域での訪問医療を実践されている藤野在宅緩和ケアクリニックの医師である石橋了知さんと、医療・ヘルスケア分野にIT技術を取り入れるサービスを提供されている株式会社クリプラ代表取締役、東京医科歯科大学外部理事の鐘江康一郎さんをお招きして、中山間地域を取り巻く現在の医療の課題とこれからの可能性についてお話を伺ってみたいと思います。
開催日時:2022年9月14日(水)19:00-20:30
場所:森のイノベーションラボFUJINO(相模原市緑区小渕2012)
登壇者 石橋了知(藤野在宅緩和ケアクリニック医師)
慶應義塾大学医学部卒。慶應義塾大学病院放射線治療科、さいたま市立病院放射線科、国立霞ヶ浦病院放射線科、国家公務員共済組合連合会立川病院放射線治療科、医療法人社団在和会立川在宅ケアクリニック、ふじもと在宅緩和ケアクリニック勤務。2013年3月に藤野在宅緩和ケアクリニック開業。患者一人ひとりに対応した緩和ケアを地域の他職種の人たちと連携をとりながら行っている。藤野在宅緩和ケアクリニックHP:http://www.fujino-kanwa.com/
登壇者 鐘江康一郎(株式会社クリプラ代表取締役)
一橋大学商学部卒業、University of Washington MHA (病院経営学修士)。ベイン&カンパニー、日本オラクル、GEを経て医療法人社団健育会 理事長室。Swedish Medical Center (Seattle)に勤務した後、聖路加国際病院に入職。経営企画室/QIセンターマネジャーを3年間務めた後、2014年4月から現職。 2020年4月より東京医科歯科大学のIT化・業務改善担当として学外理事に就任。藤野在住著書:「ナースマネジャーのための問題解決術」 (医学書院)翻訳書:「エクセレント・ホスピタル」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)株式会社クリプラHP:https://clipla.jp/
ファシリテーター:高橋靖典(森ラボ コミュニティマネージャー)子どものシュタイナー学園の入学に伴い、藤野へ移住。トランジションタウン活動に参加し、地域通貨よろづ屋事務局や、藤野電力等の活動に携わる。新規事業開発やデジタルソリューションの提供を行うアーキタイプ株式会社代表の他、地域では、一般社団法人藤野エリアマネジメント代表理事、学校法人シュタイナー学園 理事長などを務める。
高橋靖典(以下高橋):「中山間地域医療の課題とデジタル化の未来」ですが、中山間地域の医療高齢化の加速とか、交通網の不備、医療従事者の不足等、さまざまな課題があって、今後も困難な状況が予想されるかなと感じています。
現在、内閣府の方でもデジタル田園健康特区など、デジタル技術を使って、地域医療の課題に取り組んでいこうという試みが見られたり、そういった動きなどもいろいろ始まっています。今日、講師として、藤野在宅緩和ケアクリニックの医師である石橋先生と、医療のIT化を専門とされている鐘江さんをお招きしてこのテーマについて、お話をしていければと思っております。
石橋了知(以下石橋):はじめまして。藤野在宅緩和ケアクリニックの石橋と申します。藤野町に越して18年になります。私は在宅医療と緩和ケア内科という分野を専門としております。
大学を卒業して最初の10年間病院勤務をしておりました。そこで、病院という場の非常に優れているところであったりとか、課題というものを感じながら仕事をしていました。その中で3人の子供に恵まれ、1人目を助産院で、2人目、3人目を自宅で出産しました。
自宅に助産師の方に来ていただき、命を迎え入れるという体験が私の家族だけでなく、私にとっても非常に心地の良い時間が流れていました。それは病院という管理された時間ではなくて、私たち家族の時間が流れている中に命を迎え入れるということで、こんな世界があるんだってことに気がつきました。それであれば、命を送り出す場も家という場が良いのではないかと思い、10年間病院勤務をした後、在宅医療を専門として、18年ぐらいになります。在宅医療の簡単な紹介ですけれども、在宅医療は病院で行う医療をそのまま家に持ち込むことではないです。
外来に通えなくなった方を家で外来診療をするのとも違うと思っていて、在宅という場には患者さんご本人やご家族がその場で5年10年20年30年と作ってきた世界があります。
その世界観の中で、どういう医療がふさわしいのか、どういう医療が望まれるのか、ということをご本人やご家族と話をしながら、対話を重ねながら、見つけ出して一緒に作り上げていくことです。それが私の思う在宅医療になります。
もう一つ、私は緩和ケア内科を専門にしているので、そこの話もさせていただこうと思うんですけれども、色々な内科があります。呼吸器内科があったり、循環器内科があったり、糖尿病内科があったり、その中に緩和ケア内科というものがあって、人によっては最後に受ける医療というイメージを持たれる方がいらっしゃいます。
それは決して間違えた認識ではないんですが、私の中では緩和ケアというのは暮らしを支える内科、そんなふうに思っております。いろいろな病気があります。がんだけではなくて、認知症だったり、心不全だったり、どれも治らない病気です。認知症も10年15年の経過の中で認知症が原因で亡くなりますし、心不全もどこかで急性増悪、急性心不全となって命を落とすことになります。
脳梗塞の後遺症もそうですし、お年をとられて腰が痛いなとか、膝が痛いなと、これもある意味治らない病気です。そうした時にもう治らない病気だから、何もすることはありませんと言ってしまったら、医療は何の役にも立たないことになってしまうんですが、もちろんそんなことはなくて、お薬を使って体が楽になることはしっかりお薬を使い、30分、1時間ご本人やご家族とゆっくりお話をすることで、環境を整えて楽になることもあります。
ここに手すりがついていると、ちょっと楽だよねとか、マットレスが柔らかいと痛み取れるよとか、そういった環境を整えることで楽になることは、環境を整えながらいろいろな職種の人とチームをつくって、その方の暮らしが今までと同じとはいかないんですけれども、なるべく楽に過ごすことができる、暮らしていける、生活が営んでいける。そんなことを支えていくのが緩和ケアだろうと思っています。そして、ご家族ご本人が希望されれば、とことんお付き合いをしていきます。私の診療所では大体86%ぐらいの方がご自宅で最期まで過ごされています。
1ヶ月、2ヶ月というお付き合いをしていく中で、こんな感じだったら家で最期まで行ってもいいなと。そんなふうに思っていただいて、大体86%の方がご自宅で最期まで過ごされています。年間でいうと、35名ぐらいの方、10日に一人ぐらいを自宅でお看取りをしている、そんな医療を行っています。
高橋:続いて、株式会社クリプラと、東京医科歯科大学の外部理事をされている鐘江さんの方から自己紹介とこのテーマについての資料を作ってきていただいておりますので、お話をお願いいたします。
鐘江康一郎(以下鐘江):今年の3月に藤野の日連の辺りに越してまいりました。鐘江と申します。よろしくお願いします。私は医療者ではなくて医師でもないですし、看護師とかそういった職種でもないです。元々は大学出て普通にビジネスマンをやってまして、最初9年間は普通の企業勤めとして働いていました。9年やって大体30歳前後になると、人間いろいろ次の10年を考え出すと思うんですが、その時に何かもっと世の役に立つ、単なるお金儲けじゃなくて、今まで学んできたビジネスの経験を生かして、世の役に立つことがないかっていうことで、いろいろ仕事を探しまして、たどり着いたのが病院の経営です。
病院の経営をやることで、医療をやっている人たちを支えることができる。ひいては病気の患者さんをサポートできるんじゃないかということを考えて、それ以来、医療の経営の世界に入ったというのが、これまでの経験になっています。
アメリカに留学して医療経営を学び、日本に帰ってきて最初に勤めた所が、東京にある聖路加国際病院という病院です。当時いらした日野原重明先生という方が、105歳でお亡くなりになられたんですけれども、私がいた頃は一緒に働かせていただきました。ものすごいバイタリティーですごいなと思いながら日々接していたんですけれども、彼は経営者としてもすごいリーダーとして素晴らしい方だったんですけど、やっぱり医師としてもすごくいろんな伝説を残されている方でした。
今の石橋さんのお話ともちょっと通じる部分はあるんですが、直接聞いたわけではないですけど、私が記憶しているエピソードとして、患者さんを治療するときに研修医に先生が質問をするんですけれども、病気のこととかじゃなくて、この患者さんの家は階段がありますかとか、そういうことを聞くんです。そうすると、研修医はそんなことを調べていないので「え、それってどういう意味ですか」みたいな感じで返すらしいんですけれども、結局退院した後、家に帰ってちゃんと生活できるような環境なのかっていうのを確認する。そういう意図があるというのを聞いて、なるほどねと思いました。医者の仕事というのは、必ずしもお薬を出したり、手術をしたりというだけではなくて、家庭環境とかそういったところにも配慮するというのが、本当のお医者さんの仕事なんだなというのを感じたというのが聖路加時代の経験としてはあります。
その後、病院の一つの仕組みを変えていくということ自体に、やりがいはものすごくあったんですけれども、もうちょっと幅広く、ITの技術を使って世の中的に何かこうインパクトの出せるようなことができないかということで、会社を作りまして、今に至るというのが、これまでのお仕事の内容になっています。今日はテーマをいただいたので、少し私なりに思うところを整理した資料をご用意してきましたので、軽くお話しできればなと思っております。
中山間地域の医療の課題というところで、簡単にまとめると、一つは物理的にアクセスが悪いというところで、そもそも医療機関の数が少ないので、例えばこの辺で心臓の手術できる医療機関というと、やっぱり結構離れていると思うんですよね。
日赤の方まで行かなければならないと、物理的に距離が遠いということと、その距離が遠くても行ければいいんですが、なかなか自力で行けなかったり、公共の交通網がなかったりと言う、交通機関が少ないというのがあるのかなと思っています。もう一つが、これも高橋さんが冒頭でおっしゃっていましたけれども、高齢化しているので、当然患者さんになりやすい方は多いにもかかわらず、医療機関は少ないというミスマッチがやはりあるのかなと。これを解消するにはどうするかというのが、これからのテーマになるという風に考えてます。
全部を解決するわけではもちろんないんですけれども、一つの解決する策がやはりIT化、デジタル化だと思っています。
デジタル化という話をすると、なかなかすぐに高齢者には馴染まないんじゃないかという御批判というか、反論、御意見をいただくことはあるんですけれども、私は必ずしもそうじゃないと思っていまして、使い方と使う場所と場面とが、揃っていれば十分活躍できる余地はあるんじゃないかなというふうに考えています。
物理的なアクセスの悪さについては、やはりオンラインでできることをそっちに移行するだけでもだいぶ違いが出てくるのかなという風に考えて、後でまた具体的にお話しします。需給のミスマッチについてはこれも世の中的によく言われていますが、お医者さんにはお医者さんしかできない仕事をやってもらって、それ以外の仕事を例えば看護師さんとか、薬剤師さんとか、介護士の方とか、ヘルパーさんとかいろいろ取り巻く方はいっぱいいらっしゃると思うので、そういう方に一部を担っていただくということができるんじゃないかと考えています。
具体的な例として、これはまだ日本では使われていないものになるんですが、イスラエルの会社でタイトケアという会社がありまして、アメリカとかでも既に展開されているんですけど、聴診器とか、体温計とか、耳の中にカメラを差し込んで耳の写真を撮るとか、よく子供を医者につれていくと、先生が耳の中を見たりすると思うんですけど、あれをカメラを通じてできる。あと、べロを押してみたりもすると思うんですけれども、そういった機能が全部カメラについていまして、そこで撮影したデータを医者に送信できるんですね。
そのため、家にいながら診察室でやることの100%とは言いませんが、6割、7割ぐらいを行えるっていうツールを提供してる会社があります。これは今、日本でもサービス開始の準備を進めているところでして、別に私この会社となんの関係もないのですが、そういうのをたまたま知ってまして、こういったサービスが近いうちに日本でも使えるようになってくるというふうに考えています。
ただのテレビ電話のオンライン診療っていうのは、今、日本でも行われていますが、医者の方に話を聞くと、話をしただけじゃ、何が原因なのかちょっとわからない、とおっしゃいます。データを取って、例えば心臓の音を聞いて、大丈夫だねという判断ができるというのは、非常にいいことなのかなと考えています。具体的な利用シーンや、全部は使えないですよっていうふうにお話をしたんですが、使えるんじゃないかなって思っているのは、映像です。
私の妹もですね、以前、ひきつけを起こしたことがあって、ひきつけの状況って先生に説明しようと思ってもなかなか難しいじゃないですか。例えばそういったことが起きた瞬間に動画で撮影をして、その動画をドクターに送れば、さっきこういう状態でしたっていうのも動画で見せられるようになります。小児科の治療についてはかなり使えるんじゃないかなと。お子さんもコロナのこともあり、なかなか(病院に)連れて行きたくない方もいらっしゃるかと思うので、そういった場面では使えるんじゃないかなと思ってます。
あとは、介護施設でちょっと具合が悪くなった方がいますという時に、診察に行かなきゃいけない。しかし、行かせるためには、誰か一人付き添わないといけないんですね。そうすると、その介護施設は人手が足りなくなってしまう。連れて行って、待った上で診察を受けて帰ってきてみたいな感じになるので、付き添いの人が必要で、もう半日仕事ですね。これを解決するのに、オンラインでお医者さんに診てもらって、今こういう状態ですけど連れて行った方がいいですかっていう判断を仰ぐだけでも全然違うっていう話はやっぱりされていました。介護施設と連携してる医療機関があったりするんですけども、そことつないで診察に行く前に一旦診てもらうっていうのが使い道としてはあるかなというふうに考えています。
もう一つが石橋さんがされていますけど、在宅の場面で訪問看護のサービスがあると思うんですが、特に一人暮らしされているようなご老人ですと、なかなかスマートフォンやタブレットとか使えないよっていう方がいらっしゃると思うんです。
そういった方でも訪問看護師がいた時に代わりにその人に操作をしてもらって、そこでお医者さんとつないで「元気ですか?」みたいに話をするだけでもだいぶ違うと思いますし、その場で看護師さんがバイタルを取ったり、血圧を測ったりできるので、その情報を伝えてお医者さんと話をする。
ドクターのような人的資源は非常に貴重なものです。そのドクターが移動をしたりとか、ドクターが出向くというところは時間がもったいないと思うんですね。なのでドクターは1ヶ所に行ってもらって、訪問看護の方々が動いて、その都度つないで話せば1日で見られる患者さんの数がもしかすると、5人から50人になるかもしれない。この訪問看護のところに遠隔のオンラインのサービスを使うというのは可能性があると考えています。
次に問題になるのが、その現場にいる看護師さんにお医者さんが何か指示を出して実際の治療行為をするところです。少し権限の話が出てくるので、タスクシフトってよく言うんですけれども、医者しかできない仕事を看護師にもできるように、例えば法律を改正するとか、そういったことが必要になってくるのかなというふうに考えています。これも参考までなんですけど、お医者さんが足りないというお話を今したんですけど、その理由の一つは日本人が病院にかかりすぎてるっていう事実があります。というのを一応ご紹介しようかなと思って持ってきました。
これはOECD加盟国の国民一人あたりが医療機関に1年間に何回かかってるかっていうのを並べました。トップが断トツで韓国なんですけれども、2位が日本なんですね。で、1年間に一人あたり12.5回の診察にかかっている。病院に医療機関に行ってるっていうデータがあります。
高橋:平均、月1回ということですね。
鐘江:そうですね。平均ですので、もちろん1週間に1回、毎週行ってる人もいますし、年に一回ぐらいの方もいらっしゃるので、平均で月1回ぐらいというのが日本の平均になっていて、ずっと右の方へ行くと、例えばスウェーデンとかだと年に一人平均2.6回とかですね。
制度とかいろいろ違いはあるにしても、かなりこう違っているで、当然症状が重かろうが軽かろうがいけば、お医者さんの時間をかなり使うことになる。
これはアメリカの例でかなり先進的な遠隔診療の事例です。今お伝えしたような貴重なお医者さんのリソースをどうやってフル活用するかといったところの究極的な形かなと思うんですが、このアメリカに建てられた病院はベッドとか診察室が一つも実はなくて、全部モニターとコンピューターしかないですね。モニターとコンピューターの先に何があるかというと、患者さんのご自宅にあるタブレットのモニターがあったりとか、あとは別の病院にある集中治療のベッドの部屋にカメラが付いていて、そこと繋がっている世界になっています。
なのでお医者、医療職の人は、このモニターの前から一切動かないで、カメラを見て患者さんを見て指示だけを出す。その指示を受けた作業をするのは、現場にいる医者ではない。スタッフが作業をする治療するっていう、そういう仕組みになっていて、冒頭でお話ししたオンラインの仕組みとタスクシフトが行われている。
医者じゃなくてもいい仕事は、医者じゃない人がやるってことをうまく掛け合わせて実現しているサービスかなというふうに考えています。日本の仕組みの中で、これを実現することはまだまだ難しいんですけども、考え方としては非常に合理的だと思っていて、いつか日本でもこういうサービスが出てくるといいなっていう思いも込めてご紹介をしました。
まとめですが、今お話ししたところで、やっぱり物理的なアクセスと需要供給のミスマッチ。これを解決するには、やっぱりデジタルでできることの一つとしては、先ほどお伝えしたオンライン診療ですとか、それを使うことを前提とする。そのタスクシフティングの部分ですね。看護師ができる仕事を増やす、薬剤師ができる仕事を増やすというところが、今後の鍵になってくるんじゃないかなというふうに考えています。
高橋:鐘江さん、ありがとうございます。石橋さんに、今の鐘江さんのお話も受けつつ、実際訪問診療をされている中で感じていらっしゃる課題はどういったところがありますかね。
石橋:課題はもう本当に鐘江さんが話してくださったことは、全くその通りです。今、高齢化率が40%ぐらい(藤野地域)ですね。高齢化とそれに伴う移動手段の問題というのは、やはり一番上にあって、もう一つがやはり医療資源です。決して医師は少なくないと私は思っているんですけれども、有効活用できていないというように感じます。例えば婦人科はこの地域にはなかなかいないですし、内科の中の例えば血液疾患を専門に診てくれる血液内科の医師は、北里と東海大にしかいないとか。全ての診療科が網羅されるためには、こういうデジタルの技術を使って、うまくつないでいかないと難しいなというところです。また、看護師も足りていなくて、どこの病院も看護師募集していますし、在宅を担う看護師も足りていない。実はもっと足りていないのは、介護です。医師よりも介護士を何とか増やすべき、医療と介護はセットで考えないと地域で暮らしていくということは無理なので、介護事業所や、介護士の不足というのが、もしかしたら大きな一番なのかもしれない問題だと思ってます。
先ほど前半のお話のデジタル化が進むことで、専門性のある先生の指導がオンラインで受けられる。オンラインが導入されると、そういった繋がりができるということが一つあるということですよね。いわゆる診療圏という概念がなくなっていく時代になるんだなと思っており、今までは通える範囲が診療圏だったので、例えば関西にものすごい良い先生がいるんだけれども、毎月通うのはさすがに現実的でないっていうようなことが、例えばオンライン診療ができれば、半年に一回対面でその医師のところに行くけれど、残りの合間はオンラインでお願いするとか、そういった対面とオンラインを組み合わせることで、よりスペシャリストのところに行けるメリットは増えてくるだろうなって思います。
一方で、どうしても対面じゃないと成り立たない分野もあって、そういうところがうまくパズルのように組み合わさっていくと、非常に良い仕組みが出来ると思います。
高橋:ダヴインチという名前でしたっけ、遠隔で手術するみたいな例もありますよね。すごい優れた脳外科医の先生がいれば、遠隔地に先生がいても、患者側にロボットがあって同じ動きをするやつがありますとか、そういった機械も最近はありますよね。
お話の中で、医師が有効活用できていないという表現がありましたけど、それは今、距離の問題だけでしょうか。それとも、他にも医師がやらなくてもいい作業をしているケースがあるとか、そういったものも含んでいるんですか。
石橋:両方ですね。私は所管の診療所にもっと来院される方が増えていいと思うんですけれど、やはりそんなに外来患者数が増えていなかったり、みんな大きな病院に行ってしまう。あとは地域の森田病院、相模原赤十字病院、廣瀬病院、上野原市立病院いわゆる大学病院と診療所の中間に位置するような病院にも非常に優れた医師がいらっしゃいます。設備があるところの情報がテクノロジーを活用して、共有されるようになってくると、非常にいいのかなと。
高橋:なるほど、患者さんが地域のかかりつけ医には行くが、次の段階でもう大学病院に行っちゃう。その二段階目の中規模病院の認識が薄い。そういうところは、医療の広報の問題なんですかね。
石橋:例えば、不整脈があって、どこにかかったらいいかわからないっていう時に、循環器内科の専門医がこの地域のどこにいるのかっていう情報を多分、皆さん余りご存じないと思うんですね。でも、森田病院に一人、廣瀬病院に一人いるということがわかっていれば、わざわざこのぐらいの不整脈であれば医療センターだったり、東海大学だったり、北里まで行かなくてもより身近なところで対応できるよというようなこと。
高橋:医療情報の共有化の、一般への共有化みたいな部分ってことですね。確かに言葉を選ばずに言うと、地域だとあそこのお医者さんいいよとか、あそこはヤブだ、とかいう噂だけの部分でみんな動いていて、専門医がいるとかそういった情報まではやっぱり知らないですよね。
それこそ病院側の情報発信が足りないってのはあるかもしれないですけども。ただ、何か少し行政からなのか、地域でなのか、そういった情報が共有されると、おっしゃっていた医師の有効活用がされることにつながってくるということですよね。また、お話しされていた介護士の不足に関しては、やっぱり報酬の問題とか、就職のハードルの高さみたいなものはありますよね。
石橋:もう、まずはそこに手当てを厚くとは思います。本当に中山間、限界集落と言われているようなところに、介護士の方が1日、3回行くというのは今現状無理ですね。でも、例えば独居で限界集落に住んでいる人が、そこで最期まで過ごしたいって思った時にはやはり1日3回位、人が入ってほしい。
でもそれができないとなると、結局選択肢はその方がそこに居たいと思っても、それが叶わないことになってしまうので、まずはお金の配分をそこにしっかりしていく。特別手当とか、本当にそれは国が動かなくても市のレベルで特別手当っていうのがつけられたりすると思うので。
高橋:なるほど。鐘江さんにお話しいただいたオンライン診療のお話ですが、石橋さんの方で実際にオンラインで試してみていることとか、こういうの聞いてみて出来るかなと思うところがあったりしますか。
石橋:私は新型コロナウイルス感染症の方を拝見するときに、いわゆる本当にテレビ電話だけのオンライン診療は何度か行いました。その方が入院をしなければならないのか。入院しなくても大丈夫なのか、往診した方がいい方なのかしなくても、大丈夫な方なのかというのはそれで十分です。
いわゆるテレビカメラ機能がついているものがあれば。スマートフォンでも大丈夫。それこそLINE電話でもできてしまうくらい十分可能だなと思いましたし、ちょっとこんなことを言ったら、どこかから文句が入ってしまうかな、1年間処方が変わっていない、高齢者の方って、実はものすごいいます。
高橋:本当は(処方が)変わっているべきなはずなんですか?
石橋:いやいや変わるべきでなくて変わる必要がないから、担当の医師は変えず、1年間ずっと同じ処方箋が出ている方。そういう方なんかはそれこそ本当にシンプルなオンラインのカメラ機能だけの診察でも困らないことがほとんどだったりするのかなと思います。
ただ、では100%それで大丈夫かと言われると、1、2%、もしかしたら問題の出る方がいらっしゃって、その人のために全員対面にするのか、1、2%そういうことがあったとしても、それは許容するという合意の中で、より積極的にオンラインにしていくのかそういうやっぱり医療者だけではなくて、実際に医療を受けられる方ともだんだんそういう意見が、気持ちが統一していけるといいのかなと思います。
高橋:私は春になると、花粉症の薬をもらいに行くんですけど、2週間分しか薬はいただけないので、2週間後にまた行くんです。でも診療といっても顔も見ない感じで、一応、中に座って3秒ぐらい話して、というのが結構あって。これは行くのも何の意味があるだろうなと思ったんですけど、そういったことと同じという意味ですか。
鐘江:3秒診察ぐらいですよね。でも多分、こういうまだこれからだと思うのですけれども、今こういうふうに出てるバイタルデータだと言われる生体データみたいなものが取れれば、それはよりやりやすくなってくるということですよね。
APPLE WATCHで心電図が取れるようになるみたいなのも出てきているので、この手のデバイスはどんどん進化をして、取れるデータがどんどん増えていく。例えばアメリカの病院の製品には、退院する患者さんに渡すパッケージがあって、タブレットと血圧計と酸素飽和濃度を測る器具とかが全部セットになった退院キットみたいなのがあります。アメリカって日本みたいに完全に治してから退院じゃなくて、とりあえずは治ったら退院させるんです。退院後のモニタリングをオンラインでやるというそういうサービスというか、サポートの仕組みになっています。これにさらに酸素飽和濃度と血圧と体重とが加わってくれば、大体のことは分かります。
高橋:技術的には取れるデータは増えていきますよね。コロナの時なんかは酸素飽和の機種貸出しとか動いていましたよね。
鐘江:はい、それがもうタブレットと連動していてデータが取れれば、自動的に病院にデータが飛ぶ仕組みになっています。病院側はそれで異常が出るとアラートが出て、電話をかけて、どう?大丈夫?みたいなことができるので、セコムのみたいな感じでの見守りですね。
石橋:今おっしゃっていた装着可能なウエアラブルデバイスの世界を僕もあまり知らなかったんですけれども、本当にすごいです。まだ制度的にはしっかりと確認をされていないので、保険診療の中では認められていないですけれど、針を刺さなくても腕時計みたいなものを見ているだけで、いつでも自分の血糖がわかる。それは、15分間隔で血糖が全部記録として残るので、より細かい血糖管理も可能になって。食べてすぐ上がるのかどうかとかということが分かる。血圧もやはり同じだったりするんですけれど、疾患を持っていない状態から、健康に対する意識の高い人たちにつけてもらえたら、早目に未然に病気を防ぐということになり、医療機関の受診抑制にもつながっていく新しい形なんだろうと思います。
高橋:予防医療にもなるってことはすごく大きいですよね。今法律的にこういう遠隔の診療みたいなのってどの程度まで許されているんですか。法律というかコロナで少し変わったんですよね。
石橋:はいオンライン診療自体は点数が付くようになりましたね。
高橋:完全に解放されたってことなんですかね。
鐘江:完全にというか、徐々にだったりします。例えば、最初のうちは初診はダメです。2回目以降ならいいですよっていうような段階から、最初からいいですよっていう感じになっています。正確に覚えてないのですが、明確にちょっとここまでOKですと私お伝えできないですけれども、ほぼ自由に可能になってきています。ただ、対面でないと出してはいけないお薬があったりとか、医療用麻薬系の薬だったりするんですけど、一部ちょっとまだ規制はかかった状態ではあります。
高橋:医療カルテの話で、リトアニアだったりとかだと、これまでの医療記録とかを全部国が管理していて、どこの病院にかかってもその情報が共有されると聞いたことがあります。鐘江さん自身もお仕事の方では電子カルテのお仕事もしてらっしゃるんですけど、この辺の医療データの共有ってのはまだまだ現実の壁があるのでしょうか。
鐘江:そうですね。なかなか各メーカーさんばらばらに作っているので、ちょうど今、来年度予算でたしかその辺のカルテの仕様を統一するところの仕組み作りみたいなのが予算取りされていたので、そちらの方向には向かうとは思うんです。ただ今まで作っちゃったものまでどうやって変えるのかとか、細かいところでは課題はあるのかなと思うので、患者さん自身が自分の医療データを持ち運べるようになるのが一番いいんだろうなと思っています。その仕組みをもう決めてしまって、各メーカーはそこに対してデータを出す。っていう仕組みが今からやるんだったらリーズナブルかな。
カルテの仕様を合わせるよりも、患者さんが持ち運べるデータを1個に決める。そうするとご本人が管理しているスマートフォンなのか何か分からないですけれども、そこに今までのかかった病気の記録だったり、今まで受けた検査の記録だったり、これまで飲んだ薬の記録だったりっていうのが全部ここに集約されれば、もちろん自分でも振り返って、ああそういえばこんな薬飲んでたんだ。違う病院に行った時にそれを見せればこの薬飲んでるのね。僕はああ、この薬飲んでアレルギー出てたのねとかというのが全部わかるようになるので、そこはだいぶ便利になると思います。
高橋:歯医者さんに行って、暫く空けて、また別の歯医者さんに行ったりすると、またレントゲンから始まる。これデータ共有してくれれば、きっと楽なのにとは思います。お薬手帳も紙でアナログで持ってると、すぐ無くしてしまうこともあります。切り張りのシールだけもらうんですけど、結局記録としては非常に曖昧な状態になっています。救急車で運ばれたという時に、どういう経歴で運ばれたのかというのを1から調べ始めるよりかは、データを持っていた方が安全だと思うので、これはぜひ日本でも進んでいったらいいなと思います。
鐘江:スマートフォンとかインターネットとかがない時代はどうやって、そのカルテを揃えようかみたいな話しかできなかったんですけど、これからはスマートフォンだったり、インターネット上の仕組みが出来ていて、セキュリティも含めて大分技術が進んできているので、ようやくそういう議論ができるようになったんじゃないかな。
高橋;さっき診察券のデジタル化の話もお伺いしました。
石橋:厚生労働省がマイナンバーカードの中に保険証情報とご本人の内服薬の情報あとは健康診断の結果みたいなそんな情報だったと思うんですけれども、入れるという方向性は決まっています。多分確実に2、3年後には利便化が図られていくんだろうと思っています。
高橋:さっきのお話だと、マイナンバーカードがいわゆる診察券の代わりというか、医療情報や、保険証のかわりですかね。お医者様側で、導入をするのに厚生労働省が全額補助を出すというお話になっているって伺ったんですけれども、今どんなスケジュール感で進んでいるということですか。
石橋:原則として、全ての診療所、病院、薬局にマイナンバーカードの読み取り装置を入れることを義務化するということが発表されています。スケジュール的にはタイトになっていて年度内ですよね。来年度の4月5月ぐらいまでには、それが全ての診療所に設置され、使えるようにすることとなっていたと思います。税金を使って保険診療をしているので、当然そういうルールがあってしかるべくなんですけれども、義務化しますという文面が載るそうです。つまり、そこに載っていることを行わないということは、国があなたの診療所は保険民保険診療医療機関として認めませんという保険診療ができなくなる可能性があるというようなことはこの間、厚生労働省が主催する説明会でありました。
高橋:そういう意味では国としても本腰を入れてデジタル化とか、情報の集約に向けて、動いているということですね。それはある意味ではいい方向とも言えますね。森ラボでもやっぱり医療とか防災の面で、シニアの方がスマホを使える方が便利だし、動画や画像で送ってもらえたりすると役に立つんじゃないかと考えて、スマホの講座をやっています。実際、年齢的にこれぐらいまでならできるけど、とか感覚としてどうですか。高齢者の皆さんが、スマホとかどんな感じで使ってらっしゃるんですかね。
石橋:もうそこは本当に個人差が大きいように思います。お年を重ねられている方の方がより新しい機器に慣れてはいないですけれども、80、90の方でも普通にスマホを使われており、若い方が教わったりすることもあります。なので、そこは本当に個人だと思いますし、さっき鐘江さんも話されていましたけれども、恐らくその必要性を理解されて、自分ごととしてこういう機器が必要なんだってことが捉えられて、実際に使ってみて効果がわかれば多くの方がそのタブレットを使った医療をいいものだと思われるように思います。
高橋:日々のバイタルデータが取れれば安心感にもつながりますよね。毎日のデータが見えてくると、自分でちょっと心臓がバクバクするのが不調でバクバクしてるのか。たまたまちょっと気温が高いせいなのかっていうのも少しつかめてきたりしますしね。
また、少し概要でもお伝えしていたデジタル田園健康特区ですが、国の方の戦略としても一つ挙げられていて、先ほど今お話のあったようないろいろな取り組みがされようとしているようです。3つの指定自治体でいくつか先ほどの話も少し重なるような実証実験みたいなものが始まろうとしているということで、一つは健康医療分野のタスクシフトってことですね。
高橋:救急医療における救命士、救急車に乗って来てくださる方の役割とか、あと、石橋さんの方でもお話しいただいていた、在宅医療における看護師の役割を拡大するという形で少しできる範囲を広げていこうという取り組みをまずされようとしてます。
石橋:本当に日本の救急医療救急隊の方々は非常に勉強されている。非常に優秀っていうふうには感じます。なので、いかに本当に必要なときに救急隊を呼ぶということができるようになることが、非常に大切な気はしています。また、デジタル化で教育がうまくしていけたらいいのかなと思うんです。
高橋:例えば救急車を呼ぶ段階じゃない方も救急車呼んじゃうとかいうとこも含めつつ、だから実はダイヤルでも119じゃないこっちかけてくださいねとかって、桁数が結構長いのでっぱり119かけちゃって、癖になってるからというか本当の救急の時に救急車が使えないなことが起きちゃうということもありますよね。
高橋:今、こういった感じで、その役割を広げるっていう取り組みと、今のカルテの話もそうですけど、医療情報の連携みたいなものを図っていこうというのは、進めようとされているっていう感じですかね。本人同意のもとで家族とか患者本人による一元化管理をする。ここでは、情報銀行のような第三者機関という表現になっていますが、患者さんもマイナンバーカードとかの活用も検討と書いていますけども、これはデータを預けるみたいなものとか、地域医療のネットワークを少し共有してデータを共有化していくみたいな取り組みでしょうか。先ほどお話しした部分にも重なるところですね。
あとは移動とか物流のサービスということで、これに関しては自家用車で、ボランティアのドライバーによる送迎を良しにしようとか。日本なんでも規制が多いですよね。免許がないと白タクみたいな扱いになっちゃうので、ボランティアの方が送迎する想定ですね。これは取り組みとしては、高齢者が免許返納した方がマイナンバーと連携することで、情報を把握してバスの運賃をちょっと割り引くとかして車に乗らなくても良い様にする。
あとはタクシーを使った医療品の配送ということで、過疎地でなかなか行けない場合に医薬品等の貨客混載運送を実施。これも多分規制があって、荷物を運ぶっていうのはタクシーに認められていないところを、荷物も運んでいいよってことにするとか、そんなようなことだと思うんです。あと、もうちょっと進めば、ドローンで運ぶようになるのでしょうか。実証実験とかもあちことで始まりつつあって、こういった移動の支援みたいな部分ですよね。石橋さんは今はもうずっとご自身で自宅を回ってらっしゃる感じですか。
石橋:はい。大体平均すると5件ぐらいですかね。
高橋:患者さんの1日もそこに見られる人数の限りがありますからそれぐらい回ればという感じですよね。例えば、まずどこかこう集会所に集まってもらうとまとめて診られるとかあれば、もう少し何かできたりもするんでしょうか。
石橋:できることはできます。今、実際には診察を行う場所というのは、保健所に認可を受けなければならないので、集会所をいきなり診療所としてここに集まってくださいという形で診療を行うことはできない日本の制度になっています。けれども、そこがクリアできれば、例えばアナログなやり方ではあるけれども、病院までは行けないけれども、自分の地区の診療所までに行けるという方たちに、毎月第1月曜日、あなたの集会所に行くからといって、そこで診察をして、対面で医療を行っていくということはできると思いできることます。
高橋:お医者さんが動くのと患者さんが動くのと、どっちがいいかというこの辺のバランス感っていうのはどうなんですか。
石橋:本当にバランス感ですよね。本当に両極端に走らず、両方が本当にバランスよく組み合わさるといいなとは思っていて、そのためにも一つの診療所に複数の医師というのは必要だろうなって思います。外来をやりながら訪問というのは、やはりなかなか大変。訪問しながら外来をやるのと同じですけれども、やっぱり大変でそこが例えば二人、医師がいれば、今日は私は外来を専門にやりますと。もう一人の人は訪問をその日は専門にする。オンラインは外来の方に割り当てるのかなっていうような形にしていくようにすると、その人その人に応じた医療が提供できていくんだろうと思います。なので、その資源を集約化するという言い方はちょっと正しくないのかもしれないですけれども、今点在している医師をもしかしたらちょっと少し集める方向に動いて行く方が、こういう地域には望ましいのかなと思います。例えば夜間の当番とかもやっぱりしやすいんですね。今、夜中当番の診療所はありますけれども、夜の10時までだったりしますし、それを逃すと本当に24時間を受けつけている医療センターとかそういうところに行かざるを得ないので、当番医がいれば、もしかしたらもうちょっと長い時間開設をしていたりとか、夜中でも困ったら往診をしますよという体制が容易に取れるようになっていきますね。
高橋:地域の医療機関の情報連携を進めて、診療所レベルと、中規模の病院と大学病院とがもうちょっとうまく連携して役割分担みたいなものをすると、少し無駄が減るというか。
石橋:そうですね。あとはもう本当に私、市所管の診療所がくっつくというのは、現実的でありな話なんだろうと思います。医師の数は変えない形でですね。
高橋:この次の他の取り組みとしては、AIとかチャットを活用した全国の服薬指導とかできることをちょっと試してみようという試みでしょうか。バイタルとか見ながら、AIとかも使いながら多少の処方箋が出たりとか、あとはSNSでチャットを使うことで、お医者さんが見れらるタイミングに返事を返しますよ。後は禁煙のアプリでしたっけ、アプリとかも多少その保険診療にできるようになったりとかというお話も伺いました。
石橋:はい。そう今、本当にデジタル化がどんどん実用化されていて、例えば禁煙外来をやっているようなところは、禁煙のアプリというものが医者の処方箋でそのアプリを1割負担の方であれば、1割で購入ができる。それには一酸化炭素濃度を測定する機器も一緒に付いていて、禁煙していくと、呼気の中の二酸化炭素濃度が減っていく。それがアプリの中に記録され、自分自身も禁煙がちゃんとできているということが実感でき、そのデータが担当医のところにも行き、日々の生活のアドバイスもそのアプリからなされていて、その担当医とチャットで話もできるみたいな。そんな機能がついているものだったします。こないだすごいなと思ったのは24時間のホルター心電図をよく不整脈がある方に行ったりすることがあるんですけれども、病院に行って心電図を装着してもらって24時間過ごす必要があった。それが、シャツを郵送で送ってもらって、そのシャツを着ると、もうそこにホルダーがシャツについている。それを着て24時間過ごし、その後また郵送で送り返せば診断結果が担当医のところに送られてくる。もう本当に病院に行かなくても、なるべく地域格差が生まれないような医療というのが、そういうところでもされているんだなというのはこの間、非常に驚きました。それも保険診療として今年認可されました。
高橋:さっきの禁煙もそうですけど、命にかかわらないような治療であれば、場合によって代替ができるっことですよね。ダイエットとか命に関わらない部分であれば。
石橋:命にかかわる部分でも、例えば内視鏡で胃がんの検診をするという時に、人の目ではやっぱりちょっと見つけられないような早期の胃がんをAIがここの粘膜の模様はおかしいですよってことを知らせてくれる。それで、これまではいわゆる病理というか経験則だったものを。医師が目で判断して、ここが多分がんだろう。そこを組織をとって、顕微鏡で見てがんがあるかないかを確認してたのが非常にAIがたくさんのデータを蓄積していくことで、こういう粘膜の模様のパターンはがんですと、診断がつけば、そこの組織を取れば大丈夫というような非常にそういう意味でもすごい世界になってます。
高橋:これまではいわゆる医師の経験則だったものがもと、集合知としてアルゴリズムも含めて情報があればと、そういう診断なんかはその中に当たればわかるようになっているところですよね。
鐘江:眼底カメラでもカメラの性能がものすごく上がっているんで、別にお医者さんいなくても撮影ができます。普通に眼底カメラを置いて、その説明通りにやれば、もう誰がやってもきれいな画像が撮れます。で、その画像をAIに読んでもらえば、この人は緑内障かどうかというのはほぼ100%に近い確率で診断がつけられますというところまで、技術は来てます。
なので、例えば、こういう地域で眼科がなかなかいないとか、診察する機会がないときに、例えばさっきの話じゃないですが、どこか公民館に眼底カメラを持ってきて測定会やりますって来てもらって片っ端から眼底カメラで写真を撮って、実際に解析するのはAIで最終的に判断するのはどこか遠くにいる眼科の専門医みたいな人が判断すれば、この人緑内障って多分結構な確率で出てくるっていうのが可能です。なかなか規制もあって、そこまでは取り組んでないですけど、何か地方ではそういう機械とAIを組み合わせた早期発見というのは、これからどんどん普及するんじゃないかなとは思ってます。
高橋:献血の車か何かに乗っけて、軽く献血してもらいながら、測るとか、健康診断も軽くできるとか、それで予防医療が働いて、医療費の抑制になったり、早期発見につながったりすれば。あと本当に規制の問題もそうですよね。その判断はオンライン診療って扱いにするのか、初期検査みたいなもので、バイタルデータのレベルだからこれは医療ではない範囲でやるとか。
鐘江:そうですね。基本的には医師のオーダーがないと検査ができないのでそこをどう立て付けするかとか、もちろん検診という形にすればいいとは思うんですけれども、なんか変な話、ショッピングモールとかが興味持ってて、だけど、彼らがそういうことをできないので、血圧測定みたいなコーナーってありますよね。
あれと同じノリで眼底コーナーがあっても、別に何ら技術的には問題もないんですけど、どうも規制上できないっていうのが今の状況で、ショッピングモールの人もそういうのはあったらやりたいよねって言う話をしたことがあります。
高橋:それは100円とか払って検査してアラートが出たら、その時に病院に行くとか。
鐘江:そうですね。緑内障は最悪失明するので悪くなるので、それは非常にやる価値はあるのかなと思います。
高橋:恐らく白内障だったり、いろいろなものでも、もっとデータがたまっていけば、どんな形でも簡易的に計測する方法はあるわけですね。新しい未来の可能性があって、それは確実に変わりますね。ちょっとこんな感じで先ほどお話しした救急医療の権限広げるとか、デジタル化みたいなものは、徐々に新しい形でも進みつつあるということですよね。
Q&A
質問者:石橋さんのお話の中で、私もすごく共感したのがやはり、その医療と介護の現場で、やっぱり藤野地域がもうそうですが、やっぱり介護の人が本当にいないっていうのが僕はすごく大きいことだなと思っていて、今日来たのもそこを何かいいアイデアはないかなって常々思っていたので伺ったんですけれども、例えば国の政策とか相模原市の財政の話もさっき言ってましたけど、待っててもなかなか介護の人の報酬って上がっていかないので、やっぱり藤野独自で何か工夫できないかなっていうのがあるんですけど、それはよろづを使うとかよく分かんないんですけど、そこら辺でこう藤野のらしさで、介護の人が仕事じゃなくてもバイトでもいいかもしれないんですけれども、何かこう介護をちょっとでも近所の人にできるような何か工夫がないかなって、もし意見があれば伺いたいのともう一つは情報。
もしそれができたとした時に、情報の共有ってすごく大事になると思っていて訪問診療とか訪問看護の方、皆さん、今ITで情報共有されていると思うんですけど、そういうのを例えば資格がなくてもこう気持ちのある近所の優しい方々って藤野にいっぱい住んでいるんですよね。そういう方がやっぱり大事な介護のお助けをした時に、大事な情報を知っとかなきゃいけないこともあると思うんですけども、そういうのを一般の人でもできるような方法があるのかとか、個人情報の問題もあるかもしれないですが、今のこの介護保険とか医療の枠じゃないところで考えないと多分、藤野らしさで支えあい助け合いってできないと思うんですよね。だから今の報酬制度じゃないところでいいアイデアがあれば教えてほしいなと思うんです。
高橋:どうでしょう。
鐘江:参考になるかはちょっとあれなんですけど、すぐ近く八王子にある元北原脳神経外科っていう病院があって、今北原国際病院なんですけど、あそこが取り入れてる仕組みで基本患者さんの家族が対象になるんですけど、病院に来て何かしら手伝いをする患者さん、自分の家族のために、例えば何かを運ぶとか、要は、ボランティア的な作業をすると、それに対してポイントが付与されて、そのポイント分で将来自分が病気になった時に北原で医療を受けられますよみたいなそういう仕組みがあるんですね。何か同じようなことで、例えば介護の何か手伝いを、もちろん、資格がないとできないこともあるのかもしれないですけど、入浴介助するとか食事介助をするとか清掃するとか、ベッドのメーキングするとか色々あると思うので、例えばそういうことをやった時に、その動いた時間に応じて何かポイントが付与されて、それが将来目的限定なのかもしれないんですけれども、医療とか介護とかそういったものに使えますよみたいな仕組みを自治体なのかちょっとわからないですけど、1病院がやるよりは自治体でやった方がもっと幅が広がると思うので、よろづに近い考え方かもしれないですけど、何かそういうのをもっと仕組みとしてやれるといいのかななんていうのはお話を伺っていて思います。
石橋:以前から夢のように思い描いていることの一つは、大事なご家族とお別れした遺族の方は自宅でお看取りをした方はかなり介護技術が皆さん高まっています。
ヘルパー研修とかは受けていらっしゃらないですけれども、やっぱりリアルに自分が自分の家族を最後まで看取るまで経験されてきたことがあるので、そういう方たちが何か活動できる場が作れたら、それはすごい素敵だなってことは思っています。そんな取り組みがあってもいいのかなと思ったり、後はこれはもう藤野だけに限らないですけれども、多くの方が迷惑を掛けたくないと思うんですけど、そこの意識改革を何かしていけないかなって思います。それは自分も誰かの困り事をお手伝いしました。だから、今私は困っているので、堂々と人に頼みますっていう文化がこの藤野に起これば、それはやっぱり世代同じ世代ではダメなので、絶えず10から20ぐらい下の知り合いを作りつつ、上の先輩をある程度困りごとに対応して、自分がその年代になって困ってきたら、堂々と人にものが頼める。
そこにその鐘江さんがおっしゃっていただいたポイントみたいなのが溜まるとより頼みやすくなると思うので、そういうようなことを何て言うんですかね。迷惑って言葉がいけないのかななんて思うんですけれども、何かそういう考え方や意識が変わっていくといいなと思います。
介護ロボットみたいなものを、利用しながらというのはありかもしれない。
高橋:私もちょっと違う切り口のお話で、さっきのポイントのお話しで老人ホームなのか介護施設なのかちょっと正確に覚えてないんですけど、例えば入居する時に施設で、地域通貨みたいなものが貰えて、施設の中で他の方のお手伝いするとまた貰える仕組みがあります。
自分の体温を図るとか、スタッフによる作業を代行するとポイントがもらえる。入居者が単にサービスを受けるだけでなく、自分で動くことをインセンティブにすることで、何か逆に動き始めて元気になる自助努力を高めて、かつ老化を防ぐような仕組みになっているそうです。
そういった費用の問題というのはすぐにはなかなか改善は難しい部分かと思いますけど、そういった部分で地域とか自助努力とかそういうところは何か支える方法があるといいですよね。
質問者:情報共有配布地域介護の人とか、医療の情報共有でやって地域のボランティアさんが介護した時に、石橋さんとかはそういう情報をどうやって得ているんですか。
石橋:メディカルケアステーションっていう分かりやすく言うとLINEのような機能。セキュリティーの一応保証されているLINE機能を持っているものを基本的には使ってます。一番最初の時にご本人とご家族に情報の共有をさせてもらってもいいですかっていうことを一応、お伺いをして承諾書っていう堅苦しいんですけども。一応そこにもお名前をいただいた上、関わる人たちにLINEグループに入ってもらって、そこには私がいて看護師がいてケアマネージャーがいてヘルパーがいて訪問入浴業者がいて。
鐘江:家族は入るんですか。
石橋:家族が入る場合と入らない場合があります。ご家族を入れてコミュニケーションをとる場合とで、いわゆる専門職でない方が入った場合、どうするかということに関しては、ここは本当に個別標準化はしていないですね。そのご家族でない方と専門職でない方とご家族の関係性であったり、どこまで伝えていいですかというようなことをお聞きしたりとか、そういう中で決めていきます。
そういうLINEグループに入らない時は一回一回ちょっとこういうことは伝えておいた方がいいので、話させてくださいねというようなことを直接声掛けして伝えることが多いです。
高橋:他にご質問はいかがでしょうか。まだ少し時間もありますので、オンラインの皆さんはいかがですか。何か先程の石橋さんのお話で看取りの経験のある方が参加していただいていて、家族の逆のグリーフケアみたいなことにもなるんじゃないかということのコメントもちょっといただいてます。じゃあ、少し締めの方に入っていきましょうか。
ここで鐘江さんに今日ちょっといろんなお話も聞かせていただいたり、少し話も出たりしましたけれども、逆にこれから、山間地域の医療とかデジタル化が進むことで、どんな未来が想定されるかとか鐘江さん自身がどんなことに少し取り組んでいきたいと思っていらっしゃるのかを伺いたいです。
鐘江:昔に比べて、インターネットとかスマートフォンとかがなかったら解決できなかっただろう課題が解決できる世の中にはなってきているし、どんどん近づいてきているとは思っているので、もちろん規制とかいろいろ解決しないといけないものはあるにしても、少なくともいい方向には向かってるんだと思うんです。
私が実際、ここに引っ越しをするっていう話になった時に、将来年取って病気になったら病院ないよみたいなことを言う人もいたんですね。なので、もしかしたらそうなったら都心に戻るかもねみたいな話もしていたんですけど、私がそのぐらいの年齢になる頃には多分そうじゃない、こういう地域の医療の状態になっていってほしいし、自分がそこに何か貢献できればすごくいいなっていうのは思っていて、別に地域に住んでいても、医療にも介護にも困らないよみたいな時代になるし、したいなっていう風に思って別に答えがあるわけじゃないんですけどただそっちの方向には少なくとも進んでいっていると思ってるので、はい何かそうなったらいいなと思います。
高橋:やはり少し病気になられて、ちょっと車で病院に通えないからということの理由で、引っ越してしまうとか。都内の方なのかなと、今郊外の住宅に住んでいると、やっぱり同じように医療関係が難しくて、逆に一戸建てを売って、駅のそこのマンションに住んでいたのに、病院が引っ越しをしてしまうというようなことも、これまでの動きとしてもありましたけど、本当にこういうのがすすんでくれば、本当に自分の育った町とか自分の気に入った街でケアを受けながら暮らしていくこともできる可能性っていうのは出てきそうですよね。
石橋さんの方から今やっていらっしゃるところといった変化によって考えられる未来とかイメージするものがあれば、お伺いできたらと思うんですけども。
石橋:デジタル化は取り入れた方が必ず良いものにはなっていくので、妙に避けるとか変化は嫌うことなく取り入れていけたらいいなと思う一方と、アナログの大切さとの加減を、もう本当にそこはやはり個々が判断して考えていかなきゃいけないところだと思うんですけど、さっきのウエアラブルデバイスとか、あれは数字で完全に管理されます。
その状態が本当に健康なのかっていうようなことを含め、やはりそこは良いものは取り入れつつ、アナログも大事にして、それぞれが、一体健康って何なんだろうって。数字が基準値の中に入っていることが、本当に健康なのかというようなことを一人一人がちょっと考えていける地域になったらいいなとも思います。
質問者:佐野川で医師をしています。一応微力ながら地域医療って感じで殆ど自分のクリニックの周りの方の外来と、あとは施設の高齢者の方の診療をやっているんですけれども、大体今すぐ中山間地域の医療、介護の問題点というのは、お二人が話されたことで私もそのとおりだと思うことばかりだったんですけれども、もう一つ私のような医者の立場から言わせていただくと、もう一つ問題点というのは、やはり医師の高齢化だと思うんですよね。自分自身もそうなんですけれども、私ももう60の後半ですから、やっぱり最近、自分の同級生とかが亡くなっている人も何人もいますので、そういうことを考えると、まあこの先どうなっていくのかなっていうところはありまして。
この地域も多分そうだと思うんですよね。今すぐということじゃなかったとしても、5年後10年後、では今いる医師がみんないるのかっていうと、そんなことはなくて、では新しい人は入ってくるのかっていうと、かなり確率が低いだろうということになると。先ほど医者というのは有効活用すべき資源だというお話があったんですけど、そのとおりだと思うんですよね。
そうだとすると、その資源が先細りしていくのは間違いないだろうということですね。それはここの辺だけの話じゃなくて、恐らく日本全国全部そうだと思うんですよ。特に開業医ですよね。開業医はもう例えば、私のところにもそういう開業医の後を継ぐ、承継とか継承とか言うんですけれども、そういう相談に乗りますよ、というようなメールだの、手紙だのがほぼ毎日来るぐらい。それは日本全国でそういうことが起こっているということなので、ここだけの問題じゃないと思うんですけれども、そういうことを考えた場合は、それをいかに有効活用するかって考えると、やはりやはりオンラインとかITとかですよね。そういうのを使わざるを得ないし、それもそうなってからでは遅いと思うので、先手先手を打ってやっていくべきなんだろうとは思うんですけれども。例えば私なんかだと本当に利用しているとは言い難いので。私なんかは本当に国がやらざるを得ないんだろうと思うんですけれども、今十分やっているとは到底思えないので、このままじゃ大変なことになるなという気はしています。私もいつまで健康で今の仕事をやっていられるかなんて全く保証はありませんので。その時にそれがあちこちで起こった場合、大変なことになると思っている気はしています。そういう仕組みづくりというの本当に待ったなしだなという気はしますので、今日は本当に参考になる話を聞かせていただいたなと思います。
鐘江:一つのテーマです。医師の将来の不足の問題は、言ってみれば分かっている未来みたいなところがあって、もう一つ大きな要素が、今、医学部に入る人の半分以上が女性で、別に男女差別するわけではないですけれど、出産とかを考えると、女性が実際に働ける期間が短いというのは、これは間違いのない事実なので、そうすると、医師の半分が女性になっているということは、その方々が将来医師として働くことができる総合的な時間は当然、男性に比べると短くなるというのもこれも十分わかっているので、そこも考えるとかなり医師の不足というのが進むと予想できます。また、医師の活躍する領域が増えていって、例えば会社に勤めるとか医療をするでも、美容とか整形とかそっちの領域に行くとか、いろんな活躍をする場所が増えてきているので、ピュアに医師として医療をやる方々の数っていうのはもっと減るんだろうな。っていうのは、すごく危惧しているものの一つではあります。
高橋:喫緊の課題として医療従事者の減少というものが起きる。実は医療に限らずだと思うんですけど、日本の人口減少の中で働き手がどんどん減ってくるので、トラックの運転手さんなど、人手不足があちこちで起きています。
答えが出る話ではないと思いますが、森ラボでも子育て中の女性の方はなかなか働く時間が長くはとれない。子育てして、少しブランクの空いた女性がもっと働きやすい環境にするみたいなことが多分、社会全体に必要だと思います。お医者様なんかも多分、例えば少しブランクの間、お医者さんがもう辞めてしまうのではなく、お子さんがある程度手離れすれば、また戻れる。本当に働きやすい社会にするっていうのが医療関係だけではなく、社会全体の課題としてもあると思いました。
石橋:相模原市では、北里大学に学ぶ学生さんに修学資金の貸し付けというのをやっていて、学んだ後に、2年間臨床で医療機関に行っていただいて、その後7年間市長が指定する医療機関で働いていただくっていう制度になっており、そういう仕組みで診療所の医師は確保するという形になっています。
高橋:地域の大学に学費の補助を出すことで地域に残ってもらう仕組みということですかね。
石橋:どのくらい相模原市が続けてくれるのか分からないですけど、当面は市所管の診療所は問題なく、やる気のある若い総合医師の方達が担ってくれる、それが相模原市がやっている非常にありがたい政策だなと思っています。
高橋:本当にいろいろな形で行政も国の方でも地域でも支えることを考えながらやっていけるといいですね。