2024年6月10日(月曜日)に、相模原市緑区牧野地区の山林にて、「森林整備&皮剥き間伐」のイベントを行いました。イベントは前半と後半に分かれ、前半はチェーンソーを用いて倒した木の運搬や整理、枝払い、草刈りの森林整備を行い、後半は社会福祉法人 くりのみ学園の利用者の皆様と共に皮剥き間伐を行いました。
まずは前半です。前半は講師と参加者を含め、約6名で作業に取り掛かりました。講師の方に森林整備の状況をお話いただいた後、安全に関する注意事項を共有し、いざ山へ入ります。
山へ入ると、講師の方がチェーンソーで約1メートル程度に切断した木を、3人がかりで通行の邪魔にならない場所へ運搬していきます。しかし、太い木は大人男性3人でも持ち上げるのが難しい場合もあり、比較的細い木を地面と木の間に差し込み、テコの原理で方向を転換し、転がして移動させるといった工夫もありました。
同時に、枝払いや草刈りを行います。ナタ、鎌、枝切りバサミを使い、茂っている竹を切り、切断した木に残っている枝を落としていきます。その枝をバケツリレー方式で同じく通行の邪魔にならない場所へ運搬していきます。
下記は、参加者の方にご提供いただいた同じ場所の作業前と作業後の写真です。
上:作業前/下:作業後
作業前は何本も横倒しになっていた太い木や生い茂った草木で通行ができない状態だったものの、切断した木を移動させ、生い茂った草木を刈った結果、作業後は安全に通行できるようになりました。重機は一切用いず、すべて人力で整備に取り組みましたが、講師の方と参加者の皆様で力を合わせ、人が通行できる道を作ることができました。
講師、参加者の皆様を含め、幸い怪我はなかったものの、生い茂った草木に潜むヒルに悩まされました。作業休憩に入る前に、お互いに「ヒルチェック」を行い、ヒルが付着していないかを確認していたものの、休憩のために、室内へ入ると、長靴等に入ったヒルが発見されるといったこともありました。とりわけヤマビルは、山間地域に生息する鹿に付着して生息域を徐々に広げていくと聞きました。
次は後半です。後半は社会福祉法人 くりのみ学園の利用者の皆様と職員の皆様も加わり、総勢10名余で皮剥き間伐を行いました。皮剥き間伐とはスギやヒノキの樹皮を剥ぎ取り、自然に樹木を立ち枯れさせることにより、間伐する手法です。間伐していない森林は、比較的細い樹木が生い茂ってしまい、風通しも悪く、土砂災害の引き金になる可能性もあります。
まず、ノコギリを用いて比較的深く円形に切り込みを入れます。
次に、鋭く切った竹をノコギリで切った部分に差し込み、木材で叩いて皮を剥いでいきます。
樹木の全周を剥いだ後、大人6人程度で周りを取り囲み、残った皮を引っ張ります。
皮を持って、力を調整して引っ張ると、3メートルを優に超える長さになります。
活動に参加して驚いたのは、生きている木と死んでいる木があるという事実です。
というのも、ノコギリで全周を切っても、なかなか竹を打ち込みにくい木と、すぐに竹を打ち込め、皮が比較的容易に剥ける木がありました。
後者の皮剥き間伐を終えた後の木を手で触ってみると、水分が含まれていることがはっきりわかりました。
こうした森林整備を含む間伐は定期的に行う必要があります。
しかし、林業産業自体の衰退、林業従事者の減少や高齢化といった理由で、放置されている山林は増加していると言われています。そうした山林は土砂災害や不法投棄といった懸念があります。
そうした問題を抱える林業にも、デジタル化を図る取り組みも進んでいます。
政府は2024年度に「林業デジタル・イノベーション総合対策」をまとめ、ドローンを活用した森林資源や地形の把握、ICT技術による生産管理の効率化、GPSを用いた草刈りの自動化といった取り組みを推進しています。
しかし、森林整備に取り組んで感じたのは、一定程度は人力での作業が必要ということです。重機を入れるとしても、その重機が通る道を整備する「人」が必要です。そうした意味で「人」と「デジタル」の融合をもって、効果的な森林整備が求められていると感じました。