2023年12月2日15時より森のイノベーションラボFUJINOにて、「持続可能な地域づくりに何が必要か~SDGsと地域活性化、気候変動の地元学の取り組みを通じて~」と題したイベントが開催されました。
まず、NPO法人ふじの里山くらぶの倉田さん、井上さんが地域における最近の活動を紹介しました。
同NPO法人では、2016年よりテーマを決め、実態調査等を行っており、現在は第三ステージのテーマの実践段階にあるそうです。
たとえば、台風19号の被災を受け、住民による対話会等を実施し、実際に罹災した方に話をしていただいたそうです。
2021年10月、11月には「自主防災を考える」と題して、自治会の活動や被災時の支援活動についてグループディスカッションを実施したり、2022年5月には「わたしの考えるハザードマップ」と題してハザードマップを手に現地を歩いて土砂災害のリスクを体感する取り組み等を行ってきたことを紹介されました。そうした活動の結果、気候変動の藤野学の取り組みでは、2020年11月に令和2年度気候変動アクション環境大臣表彰を受賞しています。
現在、「風の森学び舎」では、森のイノベーションラボFUJINOのプロジェクト「森の再生プロジェクト」と協働で活動し、里山保全をしています。現在は藤野地区の作業場所を増やし、地域住民が参加しやすい環境づくりに注力しているそうです。
次に、武蔵野大学工学部サステナビリティ学科/環境システム学科教授の白井信雄先生より、「気候変動の地元学」についてお話がありました。
白井先生は、現在全世界的に気候危機が顕在化するなか、住民主導による気候変動への適応、そしてその適応活動を通じた人づくり、地域づくりの方法として「気候変動の地元学」を構想したと話します。
ここでのキーワードは「適応」です。
気候変動の文脈で関係する言葉として「緩和」がありますが、緩和策は省エネルギー対策や再生可能エネルギーの普及拡大を指します。それに対して適応策は渇水対策、治水対策等が挙げられるそうです。
つまり、緩和策と適応策は両立し、適応策は最大限の緩和策でも避けられない影響を軽減する目的で行われる活動を指すそうです。
たとえば、再生可能エネルギーの導入の緩和策は二酸化炭素排出減少、適応策は災害時の電源としての確保といった形です。
白井先生は、岡山市や江戸川区等でも実践活動を行い、環境学習等にも注力しており、今後は「気候変動の地元学」を適応策だけでなく、緩和策にも広げ、緩和(ゼロカーボン)と適応(安全・安心)が実現した理想の未来ビジョンを描くことを目的にしているとのことでした。